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吸血鬼

オバケ度…
60%〜80% 
特定状況で「出る」  ? 相手無差別に「出る」 ○ 
会話は不可  × 独自の論理    ○ 
異形の姿    ○ 

吸血鬼作品は、いくらでもある。

吸血鬼は、実に魅力的なオバケである。古今東西、吸血鬼をモチーフに使った作品がどれほど作られたか考えるだけでも、その吸引力のほどが知れようというもの だ。そして、面白いことに、吸血鬼ものは、それほどたくさんあるというのに、どの作品も決して悪くないのである。大傑作も数多い。吸血鬼というキャラク ターのすごさである。

まず、ごく基本的な性質をあげておく。

生き血を飲んで命をつないでいる。太陽の光に弱いので、昼間は活動できない。歯を調べると、犬歯が普通の人間より発達し、鋭い牙となっている。鏡に映らない ものがある。肌の色は青白い。しかし、人を襲って血を飲んだ後は、頬にほんのりと紅が差す。ニンニクと十字架と銀に弱い。吸血鬼を避けるには玄関先にニン ニクを吊るし、壁に十字架をかける。倒すには、心臓に銀の杭を打ち込む。木の杭でオーケーという話もある。姿形が非常に美しく、かつ洗練されたものが多 い。一部にコウモリに変身できるものがある。

吸血鬼作品はあまりに多いので、とりあえず1999年に公開された映画「ブレイド」を紹介しよう。

主人公は、吸血鬼に襲われて「感染」した母が、「発症」して吸血鬼に変身する前に帝王切開で生まれた。この微妙なタイミングで、前代未聞の「昼も活動できる半吸血鬼」が誕生する。ここまでで既にそそられる設定である。

彼は人間として育てられたが、思春期になり吸血鬼の性質が強くなってくると、夜の街で人を襲うようになる。その後改心し、血清を打ち続けることで赤い血への飢餓感をおさめ、史上最強の吸血鬼バスターとして知られるようになる。


ウエスリー・スナイプス演じるこのキャラクターは、見栄の切り方がなかなか上手く、黒づくめの衣装がサイボーグを思わせるストイックさ。しかし、どうしたことか日本趣味で、部屋の調度に和風のものが多く、戦うときにもハイテク日本刀を使う。それが不思議に奇妙に見えない。

馬鹿なアクション映画なのだが、けっこう楽しませてもらった。

ひとつ感心させられたディテールがある。敵の吸血鬼が昼日中、人混みの中に出てくる。吸血鬼は太陽の光が何より苦手のはず。一体なぜ! と思うと、すぐに種明かしをしてくれる。なんと、日焼け止めローションを塗っているのだ。

ここ数年、オゾン層の破壊による紫外線の害が注目されているため、市販の日焼け止めの威力がどんどん上がっている。「SPF50、PA+++」なんてまるで生ぬるく思えてしまう時代になった。それに気づく吸血鬼がきっといるだろうという考えである。

なるほど。吸血鬼は、光そのものではなく、紫外線に弱かったのか。

吸血鬼ものの良さのひとつは、こういう細部のおもしろさの発見にある。だから、ひとつひとつの作品の完成度は、それほど重要ではない。吸血鬼ものがどれほど多くても、全然問題ない。数が多ければ多いほど、お楽しみが増えるのである。

一昔前、たいくつを持てあまして、毎日のように違う吸血鬼映画のビデオを見て、次々と吸血鬼本を読んだ時期がある。1ヶ月たっても、2ヶ月たっても、吸血鬼ものはまだまだあった。時間が余っている人のひまつぶしに、オススメのジャンルである。

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