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 雷さま 

オバケ度…
100%
特定状況で「出る」  ○ 相手無差別に「出る」  ○
会話は不可  ○ 独自の論理   ○
異形の姿   ○

セクシーかもしれない、雷さま

ライオンのたてがみのような髪はぼうぼうで、そこから角がのぞいている。角は真ん中に一本のような気がする。虎柄の腰巻か褌かわからないものを巻き付けている。筋肉隆々ボディビルダー的男らしい体格である。肌の色は非常に濃いような印象がある。大きな剣を持っている。小型の太鼓を輪につないだようなものを背負っている。雷の音はこの太鼓の音だと思うが、背中に背負っている太鼓をどうやってたたくのか知らない。稲光は剣が空を切り光るときにおきる。恐ろしい形相をしている。全体に鬼のようでもあり、神のようでもある。雷雲に乗って移動する。下界に降りてきて子供のへそを取る。

夏の夕方、お風呂に入ったあとに雷がなると「ほーら、雷さまにおへそを取られるから早くパジャマを着なさい」と言われていた人はかなり多いのではなかろうか。へそが身体の奥の方の重要な場所とつながっていて、それが生命の根幹に関係ありそうな感じは、子供にだってわかるごく基本的な身体感覚である。大事なへそを取られたら、ゾンビのようなふぬけになってしまうかもしれない。




今でも夏の空が暗くなり、天から降りてきた雷さまにへそを取られた自分の状態を想像するたびに、わけもなく不安になることがある。

雷さまはなぜ子供のへそを取るのだろう。まさか食べるのではないだろう。私は曲玉のようにつないで首飾りにしているのだと勝手に思っていた。雷さまの濃い肌色、堂々とした広い胸、そこに幾重にも下がるつやつやしたピンク色のへそ数珠。このコントラストは悪くない。小さな子供の考えたことにしては上出来である。

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