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 池の主 

オバケ度…
100%
特定状況で「出る」  ○ 相手無差別に「出る」  ○
会話は不可  ○ 独自の論理   ○
異形の姿   ○

引き込まれそうな水の底…

古い池や湖などの水辺にはヌシが住んでいる。ヌシの正体は、多くの場合そこに長く住んでいる動物で、霊力がある。そういうものを怒らせるときっと面倒なことが起きるので、人々は池のほとりに神社をつくったり供物を出したりしてご機嫌をとる。

深い水の底はのぞいても何があるのだかよくわからず、気味が悪いのでこんな発想になるのだろうが、深いところに特別な動物が住んでいて怒らせるとマズイとは、ゴジラと同じパターンだ。



つまり、自明のこととは思うが、ゴジラは伝統的な日本のお化けの一種で、核実験に腹を立てた海のヌシなのである。ゴジラが都市へやってきて悲しげな咆哮とともに街を踏み潰すのは「たたり」である。ゴジラは、大自然への畏怖の心を忘れ、供物をささげるどころか、核実験など行って静かな海の底を荒らした人間たちを懲らしめにやってきたのである。わざわざ日本を選んでやってくるあたりが甘ちゃんという気もするが、まあいい。

ゴジラに限らず、水辺のヌシにはいろいろな形態が考えられる。一番一般的なのは大きな魚だろうが、大亀、大蛇というのもよく聞く。ネス湖のネッシーは、出る場所や形態から考えるとヌシなのだが、メッセージがないところが弱い。やっぱりエコロジーの御旗を掲げていなくちゃヌシの貫禄は出てこないのである。

井の頭公園のヌシの正体は?

東京都武蔵野市にある井の頭公園の池にも、ヌシがいると言われていた。私は子供のころこの池のすぐ近くに住んでいたので、うわさをずいぶん気味悪く思ったものである。

池の水は、今もひどいが当時から非常に濁っていた。もっと昔、江戸時代ごろはなんでも名水の誉れ高かったらしいが、おそらく深くもない池を貸ボートのオールでかき回してしまうからだろう、すっかり濁っている。水深15センチから先は、何がなにやらまったく分からない。地元の人たちが水面にばらまくパンの耳などに加えて、よそから訪れた人も売店で買い求めたえさをまくものだから、丸々太った大きな鯉がたくさんいる。

(この項、続きます)

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