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クッキーモンスター

オバケ度…
100%
特定状況で「出る」  ○ 相手無差別に「出る」   ○
会話は不可  ○ 独自の論理   ○
異形の姿   ○

無害のおばけである。

1969年からの長ーい歴史を持つ、アメリカの幼児向け番組、「セサミ・ストリート」を知らない人は、少ないだろう。なんと、120カ国を超える地域で放送されているというのだから、感心するばかりである。私も、日本で放送されたものを見て、ファンになった。

クッキーモンスターは、番組にレギュラー出演する、ほとんど無害のオバケ。同僚のカウントカウントとは違い、生粋の化け物だ。「Cookie...!!」と叫びクッキーをむさぼり食う。周囲にばらばらクッキーくずをこぼしながら、一心不乱にどんどん食べる。食欲以外には、何もない。単純明快。

子供番組に出ているだけあって、全然怖くない。でも、怖くないのは出る場所がテレビの中だということ、登場回数が多く無
害だと分かり切っていることなどによると思う。



たとえば、これが夜中のキッチンでクッキーの入っている缶をあけてつまみ食いをしようとすると、どこからともなくバッと現れて「Ahhh... Cookie!!」と全部食べてしまうオバケだという話なら、けっこう怖い。私が子供だったら、夜のつまみ食いは絶対やめる。

さて、私は長いあいだ、このオバケの叫びを「Cookies!」で複数形だと思い込んでいたのだが、話をしていたら、友人が間違いを指摘してくれた。今わし づかみにして口の中に押し込んでいるクッキー(=単数)だけに全力で集中しているオバケと、これから食べられるクッキー全部なり、クッキーという抽象概念 なり(=複数)に興奮するオバケ。どちらがよりオバケらしい説得力を持っているだろうか。

…当然一点集中型である。つまり、放送画面を確認するまでもなく、クッキーモンスターのせりふのクッキーは単数形でなければならない。

こういう賢い友人の存在に私はどれほど助けられていることか。ありがたいことである。知っていると思いこんでいることも、決して甘く考えてはいけないと再認識させられた一件であった。(しかし、間抜けが完治した例はない。あきらめるのが正しい。)(もうひとつ付け加えれば、この「賢い友人」は、その後私の夫になった。)

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